今回はベアリングについてお話したいと思います。
ベアリングとは何なのか?
車やバイクに使われている種類とベアリングの側面に刻印されている型番の数字が何を表しているのかを詳しく解説しています。
ベアリングについて詳しく知りたい方はぜひ最後までご覧ください。
ベアリングとは
ベアリングとは回転している軸などに使われる部品で、回転の負荷や摩擦を軽くする部品です。
車やバイクで高速で回転している部品にはほぼ100%使われています。
日本語では軸受けって言うけど、たぶんベアリングの方が一般的でなじみがある気がします。
車やバイクに使われているベアリングとは?
車やバイクに使われてるベアリング ①ラジアルボールベアリング
車やバイクに一番多く使われているのが、ラジアルボールベアリングです。
日本語名は深溝玉軸受。
ベアリングには4桁の型番が刻印していることが多いですが6から始まる4桁の型番はすべてラジアルボールベアリングです。
車やバイクではクランクのサイドベアリングやミッションなどのエンジン部品やホイールベアリングによく使われています。
ラジアルボールベアリングの特徴は、高速回転に対応していることです。
ボールが外輪と内輪の転送面と呼ばれる溝を回っていますが、ボールは点あたり回転しています。
なので、摩擦抵抗が少く高速回転が可能になります。
ベアリングに対して真横から掛かる力には弱いので、間違った使い方や誤った組み方をしてしまうとすぐにガタが出て使い物にならなくなるので注意が必要です。
車やバイクに使われてるベアリング ②ニードルベアリング
その次によく使われているのがニードルベアリングです。
エンジンのコンロッドの大端ベアリングなどエンジンに使われているベアリングではボールベアリングの次に多いです。
エンジン部品以外にもスイングアームの軸などにも使われています。
ニードルベアリングの特徴は、ボールベアリングよりも高い荷重に耐えることができてある程度の高速回転も対応していることです。
ニードルベアリングでは転造面を転がっているのは、ボールではなく棒状のローラーです。
転送面には点あたりではなく線あたりになるので、回転抵抗は増えますが加重が点よりも線の方が分散されるためボールベアリングより高い加重に耐えることができます。
車やバイクに使われてるベアリング ③テーパーベアリング(ステムベアリング)
最後に中型以上のバイクのステムによく使われているテーパーベアリングです。
車にはトランスミッションやハブベアリングにも使われています。
テーパーベアリングの最大の特徴が、真上からの荷重だけでなく横からの荷重も耐えることができることです。
例えば、ステムベアリングは上からベアリングナットで押さえつけて、ブレーキング時には横方向からの力が掛かります。車重が重たくて速度が出る大型バイクではブレーキングの時にステムベアリングに掛かる荷重はかなり大きくなります。
一般的なボールでは力が掛かった時に荷重が分散されず、転送面に打痕が発生しやすいです。また、荷重がかかるとボールの動きも悪くなります。
そこでテーパーベアリングのように転動体をボールからローラーにすることで荷重が分散されて荷重がかかったときでもスムーズに回るようになっています。
ベアリングの規格の見方について
今回は一般的に広く使われているボールベアリングの規格についてお話します。
一般的にボールベアリングは6から始める4桁の数字で型番が表記されています。
例・・・6〇〇〇
今回はNSR50のクランクサイドベアリングでおなじみの6205ZZC3を例に説明していきます。
6205 ZZ C3
ちなみに、クランクサイドベアリングではシールがないのでZZの表記はありませんが、今回はZZについてもお話します。
まずは6205と記載されているベアリングのサイズはメーカーにかかわらず決まった寸法です。
ホンダ純正のNTNの6205も、モノタロウで買った6205もサイズは同じです。
余談ですが、よっぽどのことがない限りベアリングを買うときは国産メーカーのベアリングを買った方が無難です。 中華ベアリング買った失敗談はまた別の機会にお話したいと思います。
ベアリングの規格の見方 ベアリングの種類
今回は6205を例に型番の見方の説明をします。
6205
6205、4桁の数字の最初の1桁目の数字はベアリングの種類を表しています。
6はベアリングの種類がボールベアリングを表しています。
ちなみにテーパーベアリングは3から始まります。
型番はアルファベットで表記されている場合もあり、NUはローラーベアリングです。
6・・・ボールベアリング
3・・・テーパーベアリング
NU・・・ローラーベアリング
ベアリングの規格の見方 外径サイズ
6205
6205、4桁の数字の2桁目の2の数字はベアリングの系列番号です。
数字が大きくなるほど外径が大きくなります。
ベアリングの規格の見方 外径サイズ
6205
6205、4桁の数字の下2桁の数字05は内径のサイズを表しています。
内径サイズはある一定の法則があります。
その法則とは、内径が04以上のベアリングは5を掛けてあげると内径寸法になります。
例
6204は4×5で内径20mm
6205は5×5で内径25mm
型番見るだけで内径のサイズが分かっちゃいます。
ちなみに04以下は規格できまっています。
- 00は10mm
- 01は12mm
- 02は15mm
- 03は17mm
04以下の型番は覚えるしかありませんが、覚えておくと型番見るだけで軸の寸法が分かります。
ベアリングの規格の見方 シールの種類
6205 ZZ C3
4桁の呼び番号の次のアルファベットはシールの種類を表しています。
ZZは非接触の金属シール。
これはNSKやNTNなど共通ですが、ゴム製のシールの場合はメーカーによって表記が違います。
例えば、接触式のシールはNTNではLLUという型番ですが、NSKではDDUになっています。
シールは金属かゴムか、接触式か非接触かこれはメーカー毎に表記は違いますが、ラインナップはそろっていますので、お好きなメーカーの表記を調べてください。
ベアリングの規格の見方 すき間の種類
6205 ZZ C3
最後のC+数字はベアリングのすき間を表しています。
無記名は普通隙間になります。
C3は普通よりも隙間が大きくなり、数字が大きくなるほど隙間も大きくなります。
隙間の大きい順
C1 <C2 <CN(無記名) < C3 <C4 < C5
すきまはC1からC5まであるけど、バイクにはC3で十分だと思います。
例えばレース用のエンジンなので精度を求めるためにC2とかの隙間がないベアリングを選んでしまうとどうなるのか?
精度を求めるはずが、発熱などのトラブルでベアリングがすぐに壊れてしまいます。
理由は熱膨張やケース、軸の変形によって、ベアリングの隙間がなくなって回転の抵抗になるからです。
C3くらいガタがあった方が、たとえケースや軸が悪かったり、クランクがズレて組んだ時でもすき間が確保されて影響もあまり大きくは出ないと思います。
ちなみに、無記名とC3の隙間の差は8μm程度です。1ミリの1000分の8ミリなのであまりすき間は大きくはないです。
NTNカタログより引用
そしてたったの8μmですが、クランクのズレで8ミクロンくらいのすき間は変わると思います。
今回はベアリングについてお話しました。
ベアリングは規格品なのでホームセンターで買ったベアリングだろうが、NSKやNTNのベアリングでも基本的には同じです。
ただし、ベアリングを買う場所はどこでもいいですが、ベアリングは国産を強くおすすめします。
ちょっと、しつこいですね(笑)
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