今回はNSR80とNSR50のエンジンの違いをお話したいと思います。
NSR80のエンジンは50と比較して、排気量のアドバンテージだけ速いのか?
同じエンジンと言われていますが、 何が違うのか?
NSR50とNSR80の違いについて詳しく解説していきます。
【結論】NSR80のエンジンは速いのか?
NSR80のノーマルエンジンは速くはないです。
NSR50からNSR80に乗ると、同じ原付で50ccのスクーターからNSR50に乗った時にような速いという感覚はなく、普通のジョグからジョグZRに乗った感覚に似ている気がします。
劇的には速くはならないけど、比べると体感できるくらい違いはある。そんな感覚です。
異論は認めます。
なぜ速いと感じないのか?
理由は出力とトルクは向上しているが、最大出力の回転数は同じだからです。
回転数はそのままでパワーが上がったことでトルクが増えて、坂道や峠道で失速せずに楽に乗れるようになるくらいで、速くなったという実感はあまりないと思います。
同じ80ccでもCR80くらいパワーがあれば明らかに速いですが、逆に公道ではパワーがありすぎて危ないです。
なので、NSR80のノーマルが街乗りではちょうどいいパワーなのかなと思います。
ただし、ポート加工やチャンバーを付けて80ccのトルクを活かしながら高回転仕様に出来たら速くはなると思いますが、モトクロッサーのエンジンのような速さにするのは厳しいと個人的には思います。
NSR80とNSR50の馬力と諸元
ホンダより引用
簡単にNSR80とNSR50のエンジンスペックを紹介します。
排気量が1.6倍、パワーも1.5倍以上アップと勘違いしてしまいますが、ノーマルNSR50のCDIを交換してリミッター解除すると馬力は9.8と2.6馬力アップするので、馬力は20%ちょっとアップ。
しかし、最高出力が発生する回転数は変わらない。
一方、トルクは1.5倍アップするので馬力よりもトルクが大幅に増えることで乗りやすくなっています。
同じノーマルのNSR50とNSR80を比較したとき、サーキットでも80の方がトルクの分だけ扱いやすく乗りやすいと思います。
ノーマルNSR80エンジンの最高速
最高速を紹介する前に簡単に仕様を紹介します。
スプロケットはノーマルで、F16丁、Rは35丁。
エンジンは、ベースガスケット2枚重ねとヘッドガスケットを薄いものに交換して、圧縮はそのままで吸気と排気ポートを0.5mm、全体的に上がっています。
吸排気はノーマルチャンバー、ノーマルキャブレターの組み合わせで最高速は110km/hです。
ちなみに最高速を狙うなら、トルクの低下を出来るだけ抑えながらエンジンを高回転仕様にするのが一番近道だと思います。
高回転を狙いつつもトルクの低下を出来るだけ抑える。
これが難しいけど、80なら元からトルクが太いのでいいところ狙えそうだけどNSR80でS80並みに走っているバイクは見たことないです。
NSR80とNSR50のエンジンの違い!パーツの流用はできるのか?
実際にNSR50とNSR80のエンジンの違いとパーツが流用できるのかをお話します。
NSR50と NSR80はフレームへのエンジンマウントの寸法は同じです。
なので、NSR50からNSR80へのエンジン交換は無加工のポン付けで乗ります。
逆にNSR80からNSR50へのエンジン交換も加工無しでできます。80から50のエンジンに乗せる。。。そんな人はいないと思いますが・・・
フレームには無加工でエンジンを乗せることはできますが、50と80のシリンダーピッチが違うので付きません。 NSR50とNSR80のエンジンの違いを簡単に紹介していきます。
NSR50とNSR80の違い シリンダー、ピストン、腰上
当たり前ですがシリンダーはボア径が違います。
NSR50はボア径39ミリ、NSR80は49.5ミリ。
NSR50のクランクケースにNSR80のシリンダーはケースにスリーブが当たるので取り付けできません。
NSR50に49.5ミリにピストンを取り付けても、シリンダーは固定できないので注意が必要です。
あと、マフラー固定フランジのスタッドボルトのピッチも違います。
マフラーを加工すればNSR80に50用のチャンバーを取り付けることは出来ますが、専用品を買った方が性能面でもいいと思います。
ちなみに、過去に80に50用のチャンバーを取り付けましたが、全然速くならなかったのですぐに取り外しました。
最後にもう一つ、NSR80は排気ポートの真ん中にセンターリブが入っているので排気ポートをめいいっぱい広げることができます。
シリンダーヘッドも形状が違います。
ピストンは前期型のNSR80は50と同じ12mmのピストンピンのサイズでしたが、中期以降は13mmにサイズが変わっています。
NSR80のピストンは廃盤になっていますが、最近、KITACOから再販されました。
純正ではないですが、国産品で廃盤のピストンが手に入るのはありがたいです。
それでは腰下の中身を分解していきます。
NSR50とNSR80の違い クランク、サイドベアリング
クランクはストロークは同じですが、大きさが違います。
NSR50のクランクサイドベアリングの型番は6205で一般的なサイズのベアリングを使っていて、ホームセンターでも売っています。
しかし、NSR80は特殊なサイズになっていて純正部品でしか手に入りません。
ここがNSR80の一番嫌いなところです。
ベアリングは消耗品なので特殊品ではなくて規定のサイズを使ってほしかったです。
87、88年式のド初期NSR80はクランクサイドベアリングがNSR50と同じサイズのようです。
88年式の途中から特殊サイズに変わっています。
よって、NSR50にNSR80のクランクは入りません。
NSR50とNSR80の違い ミッション、ギヤ比
NSR50 | NSR80 |
1速から4速は全く同じですが、5速と6速でギヤ比が違います。
NSR50と比較してNSR80のギヤ比は高くなっています。
つまり、5速と6速はNSR50よりもNSR80の方がギヤ比が近いので、NSR80はクロスミッションになっています。
ギヤ比が近いことで5速と6速の繋がりは、高回転を維持したままテンポ良くシフトアップできるので乗っていて楽しいです。
しかし、80はトルクがあるので50のミッションの方が最高速が伸びると思う・・・
非力な50には80のミッションを組んで5速、6速の失速をなくし、80は50のミッションを組み合わせて、トルクで最高速を伸ばした方が楽しいと思います。
個人的な意見ではありますが、
ちなみに、ミッションは互換性があり50も80も両方すきなギヤを使うことが出来ます。
ただし、シフトドラムは50と80で互換性がありません。
ミッションギヤは互換性があるので流用できます。
50に80を組み合わせるとクロスミッションになります。
NSR50とNSR80の違い クラッチ
クラッチは80は前年式で4枚クラッチになっています。
50も後期型から4枚クラッチになりました。
クラッチは50も80も互換性があって、80のクラッチを50に流用できます。
NSR50とNSR80のその他の共通部品
その他はすべて50と80共通です。
キックやクラッチケースカバー、フライホイールも共通なので流用できます。
電装は50はギヤポジセンサーがついているのに対して、80はニュートラルセンサーがついています。
ギヤポジセンサーはリミッターの制御のためで、センサーを繋がなくてもエンジンは掛かります。
最後にラジエターです。
NSR80のラジエターは全年式で容量が大きいラジエターになっています。
50の前期型ラジエターと比較してサイズは同じですが、厚みが倍になっています。
ちなみに50も後期型はラジエターの厚みが80と同じ大容量になりました。
50に乗っていてラジエターが前期の薄いタイプを使っている方はオーバーヒート気味になりやすいので交換した方が良いです。
NSR50とNSR80エンジンの違いまとめ
最後にNSR50とNSR80のエンジンの共通部品を簡単にまとめてみます。
シリンダーとヘッドの腰上部品は共通部品は全くなし、80の部品はNSR50のエンジンに交換できません。
クランケースも全く別です。ただし、フレームの取り付けマウントの寸法は同じなのでNSRのフレームに50、80エンジンどちらも乗せることができます。
クランクもストロークは41.4mmで同じですが、サイズが違うので互換性はありません。
腰上のパーツとクランク以外は、基本的にはすべて互換性があり80の部品であっても、50に流用することができます。
オイルポンプも50と80で吐出量は違いますが、80のオイルポンプを50に流用できますが、そんなことする人はあまり聞いたことないですね(笑) 以上でNSR50とNSR80のエンジンの違いを解説してみました。
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