原付や中型バイク、スクーターも含めて2ストエンジンのバイクには、エンジンオイルとは別にミッションオイル(ギヤオイル)が使われています。
2ストのエンジンオイルはオイルタンクに継ぎ足し(補充)するので、入っていない場合は警告灯が点いて入れ忘れを防止することが出来ます。
しかし、ミッションオイルは基本的に入れっぱなしなので交換時期も不明です。
スクーターのギヤオイルなんて新車から交換していないことも珍しくないと思います。
今回は、ミッションオイル(ギヤオイル)の交換時期とおすすめのオイル、ミッションオイルを入れ忘れるとどうなるのかを解説します。
バイク、スクーターのミッションオイル(ギヤオイル)とは?
ミッションオイル、ギヤオイルには大きく分けて2つあります。
スクーター用のミッションオイルとミッション車用のミッションオイルです。
スクーター用のギヤオイルは、2スト、4スト関係なくすべてのスクーターに必要なオイルで、リヤタイヤを取り付けるシャフトの根本にあるギヤボックスを潤滑油するオイルです。
ギヤボックスの中身はファイナルギヤのみ(普通のバイクで例えるとスプロケット)なのでオイル量も少なくて原付スクーターであれば100CCほどです。
NSR50やNSR250などミッション車のギヤオイルは、1速から5速、6速のギヤとクラッチの潤滑が目的です。
エンジンのギヤとクラッチまで潤滑する必要があるため、オイル量は1L弱必要です。
例えば6速ならミッションギヤは、メインとカウンターギヤそれぞれ2枚1セットなので合計12枚。さらにシャフトもあるのですべてのミッションパーツとクラッチを潤滑するためにオイルの量は多くなります。
だから、ミッションオイルやギヤオイルについて高級なオイルは不要です。
エンジンオイルのようにピストンとシリンダーの密閉の役割もありません。 ちなみに給油方法は4ストのエンジンと同じようにクラッチカバーから給油します。
2ストバイク、スクーターのミッションオイル(ギヤオイル)の交換時期
ミッションオイルの交換時期はスクーターとミッション車によって違います。
NSRなどのミッション車であれば、オイル交換時期は1年に1回は交換です。
走行距離では5000km毎に交換が目安です。
ギヤオイルは単純にギヤとクラッチを潤滑しているだけですが、クラッチから出るスラッジがオイルに混ざってオイルが真っ黒になってしまうため、定期的に交換しておくとクランクケースをキレイに保つことが出来ます。
一方、スクーター用のギヤオイルはギヤの鉄粉でオイルが汚れますが、初期の製造のバリが取れてしまえばほとんど汚れることがありません。
一度交換してしまえば、次回のオイル交換は1万キロ毎や2万キロ毎。気になったら交換でいいと思います。小まめに変えることが出来ればいいのですが、あまり効果がないと思います。
自分もスクーターのギヤオイルは滅多に変えていません。
ただし、新車で購入した場合は1000キロくらい走ってから一度、ギヤオイル交換します。理由は、新車エンジンの場合、ギヤのあたりが出るまでどうしてもバリや鉄粉が多く発生します。発生したバリや鉄粉をキレイにするため新車購入後、1000km程度で一度オイル交換を実施します。
当たりが出てオイル交換をしてしまえば、しばらく交換しなくても特に影響は出ません。
あと、中古車で購入した場合も念のため交換します。
前のオーナーが新車から一度も変えていない可能性があるので、中古車を買った場合も購入後すぐにギヤオイルの交換を行いましょう。
ちなみに、スクーター用のギヤオイルは車種によっては入れにくいので、油さしを使うと便利。
オイル量も100ccくらいしか入らないので量もぴったりです。
2ストバイク、スクーターのミッションオイル(ギヤオイル)のおすすめのオイル
おすすめのオイルはHONDAのG1です。
各メーカーからいろいろなミッションオイルやギヤオイルが出ていますが、HONDA純正オイルG1でオッケーです。
G1をおすすめする理由はどこでも入手できることと、ギヤオイルとしての性能も十分だからです。あと、余っても原付のエンジンオイルとして使えることもG1がいいですね。
各メーカーからミッションオイルやギヤオイルとして出ていますが、ギヤオイルやミッションオイルはどこでも売っているわけでありません。
それがG1であれば、ホンダ純正のド定番のエンジンオイルなのでどこのホームセンターでも手に入ります。
スクーターのギヤオイルは使用量が少なく100ccほどですが、もし余ったとしてもG1であればギヤオイルの他にも原付のエンジンオイルとしても使えます。
ギアオイルだと使用用途はギヤオイルしか使えず、1L缶をすべて使いきれないことが多いです。
これまで、スクーター、ミッション車含めて、ホンダのG1オイルを使っていますが、トラブルになったことは一度もありません。
逆に使ってはいけないオイルがあります。
それは車用のオイルです。ミッション車乗っている方は特に注意が必要です。
入れていけない理由はクラッチが滑るからです。
スクーターの場合、ギヤボックスの中にクラッチがないので影響はないですがわざわざ車用のオイルを入れるよりもG1の方がギヤの摩耗は少ないかと思います。
高級なオイルも不要です。
ミッションオイルはギヤの潤滑が主な目的です。ミッションオイルに高級なオイルを利用するならエンジンオイルをグレードアップした方が効果は体験できると思います。
2ストバイクでミッションオイルを入れすぎ、入れ忘れるとどうなるのか?
最後にギヤオイルを入れすぎたり、入れ忘れるとどうなるのか?それぞれ説明します。
まずは、ミッションオイルを入れすぎた場合です。
ミッション車のギヤオイルやスクーターのギヤオイルは多少入れすぎても大きな影響はありません。
レース車両の場合、オイルの量が多いことでエンジンの抵抗になり出力が下がることがあるので、レース車両ではフリクションロスを狙って規定量よりも少し減らして入れることもあります。
規定量の2倍入れたなら入れすぎですが、規定量が800ccに対して1Lなど少し多いくらいでは問題ありません。
一方、入れなかったらどうなるのか?
過去にNSR50のエンジンで何回かギヤオイルを入れ忘れたことがあります。
入れ忘れると、サーキットで約10分全開走行するとミッションから異音が発生します。
異音が発生するだけ、ギヤオイルを補充すると異音が鳴きやみます。
そして何もなかったように走ります。
NSR50に限ってはギヤオイルなしで走った場合、異音が発生してすぐにオイルを補充すると、ギヤが焼き付きロックなどせずに普通に乗ることが出来ます。
ただし、異音が発生しているのに、オイル入れずに放置するとギヤが焼き付き、ロックする可能性があります。
異音が発生した場合、少なくとも高温による表面の焼けは発生し、ダメージは発生しています。
念のため、ギヤやシャフトのクラックなど確認した方が良いです。
そのまま乗られる場合は、自己責任でお願いします。
表面は焼けて色が変わりますが、意外と普通に使えます。
以上、ギヤオイル、ミッションオイルについて書いてみました。
ギヤオイルは、ギヤやクラッチの潤滑だけが目的です。エンジンオイルのように高性能なオイルを入れても効果があまりないので、オイルはホンダ純正のG1で十分ですし、交換頻度も半年から1年に1回に交換でいいと思います。
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