バイクのレースといえば、膝を擦りながらカーブを曲がる姿をイメージされる方が多いと思います。
バイクが地面すれすれまで傾いているけど、あれはレーサーだから特別な訓練が必要だと思っている方が大多数だと思います。
しかし、膝スリ(ムリ膝で)は少し練習すれば誰にでもできます。
自分も若いころ練習して覚えたし、ほんの15分のほど練習で膝スリは出来た。 しかし、ムリ膝で膝すりを覚えてしまい、結果的に自分のライディングフォームになってしまった。
サーキットのタイムが頭打ちになり、
改めて速く走りたい。
もっとバイクの足回りを理解したい。
バイクからのいろいろな情報を把握するために、ヒザ擦りを覚えてから10年後にライディングフォーム見直すことになってしまいました。
この記事では、わざわざ練習してムリ膝を覚える必要のない理由を3つ紹介しています。
その他にもなぜヒザ擦りが必要なのか。
バイクのライディングフォームに関する事など、
15年間以上バイク乗ってきた経験から解説しています。
これからバイクでサーキット走りたい方やサーキットでバイクの練習しているけど、バイクの動きがわからない方、タイムが上がらない方はぜひ参考にしてください。
なぜバイクレーサーは膝すりするのか?理由を解説
バイクのレーサーがサーキットで膝をする理由はたった1つ。
バイクと地面の角度(つまりバンク角)を知るためです。
決して膝をすっているとカッコいいという理由で膝をスリしているわけではありません。
なぜバンク角を知る必要があるのか?
それはコースの路面状況によって適切なバンク角が存在し、限界を超えないようにバンク角を常に把握する必要があるからですね。
路面コンディションがずっと晴れでドライなら、あまり気にすることなく走ることが出来ますが、雨やハーフウェットコンディションだったらどうでしょう?
当然、雨に濡れたアスファルトはすべりやすくなっています。
この時にカンで走るよりも、滑り出した限界のバンク角を覚えておいて、限界のバンク角よりも少し浅いバンク角で走ることが出来たら・・・。 路面コンディションが良くない雨の日でも速く走ることが出来ます。
バイクを安定させるために膝をするのでは??
こんな意見もありそうですが、残念ながら膝を擦ってもバイクは安定しません。
コーナリング中は、外側に押し出そうとする遠心力に対して、バイクを傾ける、つまりバンクさせることで重心が変わり向心力と遠心力は釣り合っています。
なので、コーナーリング中は膝でバイクを支えている訳でありません(笑)
何を言っているのかイマイチ理解出来ない方は上の写真をご覧ください。
車でよくカーブを曲がると曲がる向きとは逆に体が外側へ移動します。これが遠心力です。よく横Gが~とか言ったりしますが、横Gとは遠心力のことを言っています。
自動車はタイヤが4つ付いているので、遠心力に対してタイヤのグリップで力を受け止めています。だから、車の中に乗っている人間は遠心力を受けるのです。
一方、バイクはタイヤが2つしかついていません。カーブを曲がる時に発生する遠心力は車のようにタイヤで受け止めることが出来ません。遠心力に対してバイクを傾けることで遠心力と釣り合う向心力を得ています。
当たり前ですが、バイクが静止している状態でタイヤと膝の3点でバイクを支えようとしても押しつぶされてしまいますね。 遠心力はバンクによって釣り合っています。
理由1 バンク角が把握できていなので雨が降ったら遅い。
バイクのバンク角度が把握できていないので雨の日が超遅い。
膝すりをする理由は先ほど説明した通り、バイクのバンク角を把握するため。
雨の日はタイヤが滑る限界のバンク角を見極めるのが大切です。
若い時はイケイケでガンガン行っていました。雨でもそこまで遅くはなかったです。
しかし、若い頃の勢いがなくなると考えて走らなければ速く走れないことが分かり、雨が苦手になりました。
理由は膝すりの練習をしてムリ膝から入った場合、コーナー中のバンク角を把握出来ていません。タイヤが滑るバンク角がわかっても再現出来ませんし、イケると思ってバンクさせると限界を超えて転倒する可能性があります。
昔、雨は出来るだけ膝を擦りながら走ったほうがいいと先輩から教えてもらったことがあって、それを鵜呑みにして雨の日は膝を擦ることにこだわっていました。
結局、それは間違った解釈でした。 正解は膝を擦りながらバンク角を把握しましょうですね。
理由2 タイヤのグリップ力に依存したライディングになってしまう
これはバイクと人間中心軸がずれているのでバイクのコントロールができないからです。
上の写真を見てもらえればわかりますが、ケツを思いっきりずらしてシートカウルにはハンケツと太ももが乗っています。
この状態ではバイクを100%コントロールすることが出来ません。
バイクにぶら下がっているだけなのでバイクからの情報もすべて把握できないし、リアタイヤにすべて加重が掛からないのでしっかりとトラクション掛けたつもりが半減しています。
タイヤが滑ってもコントロール出来ない、タイヤに100%のトラクションを掛けることができない。
タイヤのグリップに依存した走りになってしまいます。
理由3 バンクセンサーの消耗が異常に早い
どこのコーナーでもとりあえずケツをずらして膝をだし、侵入から出口までずっと膝スリしてしまうので、バンクセンサーの減りが異様に早い。
月1回の練習。約半年で新品のバンクセンサーがなくなってしまったことも。
バンクセンサーは結構高いし、ケチるとツナギのベースまで擦っちゃいます。
こうなると修理代はバンクセンサーよりも高くなるので、フォームを見直して無駄な膝すりを見直しましょう。
スクーターの膝スリはムリ膝フォームなわけ
スクーターはまた話が違ってきます。スクーターライディングフォームはバイクよりも体を大きく傾けて、バイクにぶら下がっています。
これには理由があって、スクーターはバンク角が限られているのでコーナリングスピードを上げるために出来るだけ重心バイクからずらして、バンクさせないように走る必要があります。
バイクと人間の軸が一致してたら、コーナリングスピードを上げようとすると駆動系のケースカバーやマフラーが擦ってまったく早く走れません。
だからスクーターレースではあのような独特のフォームになります。
ちなみに、スクーターレースでは雨が降ってもレインタイヤ(10インチ)は使えません。 雨の日にリアヘビーなバイクをドライタイヤで操作するのはすごいですね。
膝スリの練習してよかった事 足回りがどんなセッティングでもそれなりに乗れてしまう
ここから逆に膝スリの練習をしてよかったことも紹介します。
膝スリの練習すると、体を大きくずらしが気合の入ったムリ膝フォームになるわけですが、悪いことばかりではありません。メリットもしっかりと解説します。
理由は簡単で車体の情報が全然つかめず、ただタイヤのグリップだけで走っているからです。さっきのタイヤに依存した走りになっているメリットがどんなバイクでも乗れてしまうことです。
どんな人のバイクもそれなりに乗れてしまうのですが、逆をいうと足回りにこだわりがない。つまり足回りが分かっていないことになります。
バイクからの情報を受け取らず人間が無理やり曲げています。
こんな乗りにくいバイクよく乗っているね。って言われたこともありますが、乗っている本人は普通のバイクと思っていたことがありました。
足回りがあまり分からないのは自分だけかもしれません(笑)
ヒザ擦りの練習をおすすめしない3つの理由まとめ
ヒザ擦りの練習は必要なし。
膝すりは練習しなくても、速く走ろうとすると勝手に膝がすれるもの。
理由は速く走ろうとするとコーナリングスピードが上がりバンク角が増えてヒザを出せば擦れるから。
ムリ膝を練習してムリ膝フォームが身につくと
- バイクのバンク角度は把握できていないため雨の日が遅い。
- タイヤのグリップに依存したライディングスタイルになってしまう。
- バンクセンサーの消耗が異常に早い。
ただし、レースにおいてはバイクを速く走らせることができればそれが正解!!
速く走らせることができるのであればフォームを見直す必要はない。
ムリ膝フォームで雨の日速いライダーがたくさんいるのも事実。
バイク乗り始めて、ライディングフォームが全く分からない人や3つの理由の内1つでも当てはまって、改善したい人にこの記事が役に立てればと思います。
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