今回はNSR50の前期電装と後期電装の違いを説明します。
前期電装はアナログCDIで後期電装はデジタルCDIになりますが、CDI以外の部品は何が違うのか?
また、アナログとデジタルCDIの違いとNSR50の電装は前期と後期どっちがいいのか?についても簡単に説明しました。
気になる方はぜひ最後までご覧ください。
NSR50の電装、前期と後期の違い
NSR50、電装の前期と後期の違いは、CDIが違うことです。
前期がアナログCDI、後期はデジタルCDIになっています。
アナログとデジタルの違いによって、電装部品が大きく異なります。
前期と後期での電装部品の違いは次の通りです。
NSR50 前期と後期の違い
- CDI
- フライホイール
- ステーターコイル(ジェネレーター)
エンジンのクランクケースが前期と後期で共通なので、アナログからデジタルに変更する時は、電装部品を入れ替えると変更することができます。
レーサーなら電装部品が少ないので簡単ですが、ストリートは大変かもしれません。
ちなみに・・・
今回は保安部品の前期と後期の違いは割愛しています。プラグに火花を飛ばす、点火に必要な電気部品についてお話しています。
例えば、NSR50の前期と後期で点火に関係ない違いはライトのON/OFスイッチがあるか、ないかですが、そういった違いは割愛しています。
しかし、ストリートでもサーキットでも、電気部品はエンジンの性能に関係するので参考になると思います。
NSR50の電装、前期と後期の違い1 CDI
NSR50の前期と後期でCDIが違います。
前期はアナログ式のCDIで、後期はデジタル式のCDIになっています。
アナログとデジタルの違いについては次でお話しますが、NSR50はアナログCDIがおすすめです。
理由はアナログCDIは選択肢が多いからです。
後期のデジタルCDIで新品入手できるのは、銀POSHのデジタルCDIのみだと思います。
一方、アナログCDIはNSRミニ純正や金、黒POSHと複数のCDIを新品で購入できます。
コースやチューニングエンジンによっては、デジタルCDIのように点火時期を調整出来た方が速いかもしれません。
しかし、現在入手できるデジタルCDIは銀POSHのみ。
点火時期は固定で調整することはできません。
2000年式の初代NSR-Miniであれば、点火時期を8マップ切り替えることができます。
しかし、希少でなかなか中古でも出回りません。
NSR50の前期型CDIは高回転仕様(金POSH)、トルク型(銀POSH、ブラックPOSH)、その中間(NSR80、ミニ)など種類が豊富です。
ブラックPOSHのプロであれば、3マップの切り替え可能です。
今でも新品を入手することができ、選択肢が豊富なので前期CDIがいいです。
ちなみに、NSRミニのCDIはあらかじめプログラムされた8マップの中から点火時期を選ぶことができます。
進角の振れ幅が大きいMAP5、遅角の振れ幅が大きいMAP8など最適な点火時期を選ぶことができます。
昔、監督のバイクでNSR-MiniのCDIをテストしたことがあります。
結果、ミニのCDIを使いこなすことができませんでした。
ミニのデジタルCDIを使っている人がいないし、使えるのか分からないと思ったままテストしたのと、当時、エンジンの仕様がいろいろ変わったため最適な点火時期の評価はできませんでした。
エンジンの仕様が決まったあとの調整として、ミニのCDIを使うともっと有効活用できたのかなと思います。
あと、後期電装は使えないという固定観念をなくすことですねw
NSR50の電装、前期と後期の違い2 フライホイール
前期と後期でフライホイールの重さが違います。
ざっくりと前期の重さがおおよそ1100g、後期はその約半分の600gです。
うろ覚えなので間違っていたら修正してください。
前期と後期ではピックアップと発電コイルが違うので、互換性はありません。
しかし、クランク軸とケースの寸法は同じなので、ステーターコイルと一緒に交換すれば互換性はあります。
昔から前期型の重たいフライホイールを削って軽量化する改造を見ます。
フライホイールを削ることで、エンジン回転の上がりは早くなって、バイクが速くなったと錯覚しますが、結局、低回転からのトルクが小さくなってバイクが前に進みません。
結果、最高速は低下し最高速までの到達時間も遅くなります。
つまり、速くなりません。
アクセルのふけ上がりが遅くても、NSR50のフライホイールは前期ノーマルが一番良いと思います。
インナーローターや、アウターローターキットを組んだ場合、CDIも変わってくるので話が変わります。
純正ローターを削った軽量フライホイールで速いバイクは正直、見たことないです。
もしかしたら、組み合わせ次第では速くなるかもしれませんが経験がありません。
NSR50の電装、前期と後期の違い3 ステーターコイル(ジェネレーター)
前期と後期でステーターコイルの形状が違います。
前期は、大きな発電用コイルと点火用コイルが2つ付いているタイプ。
後期は、ピックアップコイルがフライホイールローターの外側にあって、小さなコイルが8個ついています。
前期は発電コイルを取り外してもエンジンがかかります。
理由は、アナログCDIは点火に発電コイルは要らないからです。
レーサーエンジンにしかできませんが、前期ステーターコイルは発電コイルを取り外すことで、発電するための必要なエンジンの回転抵抗が少なくなりエンジンのパワーが上がります。
一方で、後期の発電コイルは発電コイルを分離することはできません。
これは、デジタルCDIを動かすには直流電源が必要だからです。
そして、発電コイルの他にもレギュレーターが必要です。
配線が複雑になり、エンジンのフリクションロスになるため、レーサーであれば前期のステーターコイル一択かなと思います。
デジタルCDIとアナログCDIの違い
アナログCDIとデジタルCDIの違いは、細かい点火時期を調整できるかどうかです。アナログCDIの回路の中身は抵抗やコンデンサーです。
エンジンの回転数によって点火時期を変化させることはできますが、細かい調整はできません。
例えば、3000回転では10°進角、3200回転では5°進角、3500回転では再び10°進角みたいな微調整はできません。
CDI内部の抵抗を変えることによって進角を調整することはできますが、3000回転から5000回転までは5°から10°に進角するといった進角が比例する点火時期の変化になります。
一方、デジタルCDIはICチップを使ったマイコン制御のCDIです。点火時期の調整はプログラムで指示できるので細かい回転数まで点火時期を調整することができます。
細かい微調整ができるのであればデジタルCDIが良さそうですが、デジタルCDIは本体を動作するのにDC電源が必要です。
なので、NSR50に後期型のデジタルCDIを使う場合は、発電コイルとレギュレーターが必要になります。
改造クラスで車体にあった点火時期を調整するにはデジタルCDIが一番いいと思います。
これは、細かい点火時期の調整ができるからで、500回転毎に微調整できたり、手元のスイッチでマップを切り替えることができます。
しかし、NSR50にはそのようなCDIは売っていませんし、素人が1からCDIを作るには時間がかかりそうです。
NSR50の前期電装と後期電装どちらがいいのか?
NSR50の前期アナログ電装と後期のデジタル電装どちらがいいのか?
NSR50については、前期のアナログ電装がいいと思います。
理由は、前期電装は配線がシンプルでエンジンが速くなる実績があるからです。
直接比べたことはありませんが、同じエンジンの仕様ならNSR50では前期電装の方がエンジンが速くなると思います。
NSR50の前期アナログCDIは販売終了も含めて、種類がたくさんあります。
しかし、使っているCDIはだいたい決まっていて、POSHのCDIかNSR80(NSRミニ)が多いです。
そして、前期電装のアナログCDIは電源が必要がないため、配線がシンプルです。
理由は、CDIの電源用の発電コイルとレギュレーターが要らないからです。
配線がシンプルになるので、電気系のトラブルも少なくなりますし、発電コイルも外すことが出来るので、磁石の抵抗が小さくなりエンジンが速くなります。
CDIの実績があり、バイクも速くなるのでNSR50は前期電装がいいと思います。
ちなみに、初めてCDIを買うなら新品が手に入るPOSHのプロブラックがいいです。
銀POSH、金POSH、NSRミニの点火マップが1つのCDIで切り替えることができます。
【まとめ】NSR50の電装、前期と後期の違い
NSR50の前期と後期電装の違いは次の通りです。
・CDI(前期はアナログCDI、後期はデジタルCDI)
・フライホイール(前期は重い、後期は軽い)
・ステーターコイル(前期はコイルが2つ、後期はコイルが8個)
NSR50の前期電装と後期電装どちらがいいのか?
NSR50のレーサーであれば、CDIが選べて、バイクは速くなるので前期電装がいいです。
POSHからハーネス、点火コイルなど純正と互換する新品パーツも発売されています。
レーサー限定になりますが、前期電装では、古いエンジンでも新品同様の電装に交換することができます。
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