バイクに乗ろうとした時にクラッチを切って1速を入れた瞬間にエンストした経験はありませんか?もしくは、クラッチを切るためにレバーを握ると抵抗がなくスカスカになったことはありませんか?
この記事では、
クラッチが切れない問題を原因別に対処方法や修理方法を解説します。
バイクのクラッチが切れない ワイヤー式の場合
バイクのクラッチワイヤーの遊びが多い
バイクのクラッチレバーの遊びが多い場合、クラッチ板を押し切れなくてクラッチが切れなくなります。程度にもよりますが、半クラッチ状態になるため完全に切れないことではないですが、バイクにはよくないです。
半クラッチ状態が続くと・・・
クラッチのフリクションプレートが焼けてしまい滑ってしまう。
クラッチ板の摩耗によってスラッジが発生しエンジン内に溜まる。
どちらも厄介です。
クラッチ板も焼けてしまうとフリクションプレートを交換するしかないです。また、スラッジがエンジンに溜まるとクラッチカバーを開けない限り掃除が出来ません。
そして、何度もオイル交換してもスラッジは取り切れません。 エンジンオイルもすぐにスラッジで汚れるので厄介です。
バイク クラッチ遊びの調整
調整方法は簡単です。
これはKZ1000のクラッチのあそび調整用ボルト・ロックナットです。他のバイクも同じ構造になっています。
ボルトを緩めるとワイヤーが引っ張られて遊びが少なくなります。
ボルトで遊びを調整し、その後ロックナットで固定します。
サービスマニュアルではレバーの開き代が2から3mmで調整するように指示されています。
Z1、Z2、KZの場合、ボルト、ロックナット以外にもワイヤーの調整用ねじが前方フレームにあります。 こちらで調整しても大丈夫です。
バイクのクラッチが切れない 油圧式の場合
油圧式のバイクでクラッチが切れない症状や、握っても半クラッチの状態になりエンストする場合、マスターシリンダー、プッシュシリンダーにエアが噛んでいます。
または、マスターシリンダーのピストンのシールが劣化によって、オイルが圧送できていません。
油圧クラッチは、最近のバイクに増えています。クラッチを握る力が軽くなるのですが、ブレーキフルードと同じで定期的なオイル交換が必要です。
オイル交換を怠っているとフルードの劣化によりタッチが悪くなったり、最悪クラッチが切れなくなります。
クラッチ マスターシリンダーのエア混入の原因
通常、バンジョーボルトのゆるみやオイルシール劣化以外では、あまりエアが混入することはありません。しかし、フルードが少ない状態でバイクが転倒した場合、安易にクラッチレバーを握るとエアーが混入してしまいます。
エアーが混入した場合の対処はエア抜きしかありません。ブレーキと同様にエア抜きが必要です。最近は、エア抜き用の便利な工具が出ているため1人で簡単に作業できますね。
クラッチ マスターシリンダーのオイルシール劣化
マスターシリンダーのオイルシールが劣化した場合、オイルが圧送されずタッチも軽くなります。ブレーキと比較してこの症状はあまり起こらないかと思いますが、エアー混入していないのにタッチが軽い場合はマスターシリンダーのオイルシールを疑った方がいいかもしれません。
バイクのクラッチが切れない 共通
その他の症状としては以下のようなものがあります。
・クラッチの張り付き
・クラッチの組み立てミス
組み立てミスは、過去にNSR-miniでクラッチのハウジングが最後まで入っていなくてクラッチ切れなかったことがあります。そもそも、クラッチケースカバーもしっかりハマっていませんでした。
あとは、クラッチレバーを握ってスカスカだったこともあります。クラッチのピン入れ忘れました(笑)
バイクのクラッチ張り付きの症状
バイクを長時間放置していて、乗ろうとした時にクラッチをしっかりと切って1速を入れた瞬間にエンスト。
こんな症状はクラッチの張り付きといいます。
クラッチ板とフリクションプレートが張り付いていてクラッチレバーを握ってもクラッチが切れません。 初めてクラッチ張り付きを体験した時はクラッチレバーを握った手ごたえはあるので、なぜエンストするのか原因が分からなかった方も多いと思います。
Z1・Z2、空冷Z系のクラッチ張り付いた時の症状と事例
よく長時間放置されたバイクはクラッチが張り付いているようですが、私のバイクは全くそんなことはなく。
放置期間はたったの1か月で張り付きました。
果たして1か月が放置と呼べるのか全く謎ですが、見事に張り付きました。 原因はいろいろと考えたのですが、考えられる原因はひとつです。
・いつ変えたか銘柄も粘度も不明なエンジンオイル。
実は購入してから1度もエンジンオイルを変えていません。いつでも交換できるように購入していますが、調子よく走るようになってからエンジンオイルとフィルターは交換予定なのでまだ変えていません。
粘度はそこまで高くはなく量も規定量は入っていますが・・・
オイルが劣化したことで張り付いたのかもしれません。
症状はクラッチをしっかり握って発進しようとして1速に入れた瞬間にガチャンとメカノイズとともにエンスト。ギヤに結構な負担が掛かりそうなのであきらめて修理しました。
余談ですが、今まで15年放置したNSR80、5年以上放置したモンキー、半年に1回くらいしか乗らなくなったレーサーNSR-miniなど放置バイクは大好きですが、一度もクラッチが張り付いてことはありません。 よっぽどオイルが悪いのか・・・
クラッチ切れない対処法 その1
まずは分解がいらないかんたんな方法を紹介します。これで治ればラッキーです。
1.エンジンを始動します。
2・10分ほどアイドリング放置して、オイルをしっかりと温めます。(冬の 場合、アイドリング時間は調整してください。)クランクケースが熱くな るまで温めます。
3.再度、クラッチを切って1速に入れてエンストしないか(クラッチが切れて いるか)確認します。
この時、不意に発進してしまわないようにしっかりとブレーキを握りま す。
無事にクラッチが切れてエンストしなければ成功です。 この方法でトライするのは、1回、2回にしましょう。
運よく直ればよいのですが、クラッチに掛かる負担が大きいので直らなければ次のステップです。
クラッチ切れない対処法 その2
その1で治らない場合はクラッチを分解してクラッチ板を手で剥がした方がバイクへの負担も少なく確実な方法です。
クラック板の分解にはクラッチケースカバーを開ける必要があり、ガスケットとオイルが必要です。
Z1の場合、エンジンオイルを用意する必要がなくガスケットだけ準備すればいいのです。詳しい交換方法はこちらです。
NSR50やエイプなどは、クラッチハウジングを固定する工具と、ロックナットを回す特殊工具が必要です。
交換が難しいと感じた場合は最寄りのバイク屋さんに相談しましょう。
以上クラッチが切れない症状のまとめになります。
昨日まで普通に乗っていて突然、クラッチが切れなくなるということはあまりないと思います。
きっかけは長時間乗らなかったり整備していないことが原因です。 そうならないためにも、乗らない間もエンジンを掛けたり、ワイヤーへ給油や油脂類のチェックなどメンテナンスして、バイクのコンディションを保ちましょう。
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