久しぶりにZ1に乗ろうとして発進するときに、クラッチをしっかりと握っているにもかかわらず、1速に入れたとたんにエンストした経験したことはありませんか?
この症状はクラッチの張り付きです。
クラッチの張り付きを解消する方法はいろいろありますが、Z1(空冷Z)のエンジンの場合、簡単にクラッチが分解できるので考えている間に分解して直しましょう。
特にクラッチが切れないのに1速を入れるのはミッションへのダメージが心配です。
この記事では
Z1・Z2(空冷Z)のクラッチ交換 方法を紹介します。
クラッチが切れない原因が張り付きではない場合、こちらの記事を参考にしてください。
バイクのクラッチ張り付きZ1・Z2のクラッチ交換方法
カワサキ空冷Z系でクラッチが張り付いた場合は、分解は簡単なのでさっさとクラッチを分解して手で剥がしてあげましょう。
多くのバイクはオイルを抜いてガスケットを用意して、クラッチケースカバーを外してクラッチ分解の手順なので手が掛かりますが・・・
空冷Z系のエンジンは、バイクを傾けるとオイルを抜くことなくクラッチ交換できるので、ボルト緩めてカバー開けるだけ。オイルは流用出来るのでかなり楽です。 それでは解説します。
Z1クラッチ交換する前準備
まずは、バイクを傾けてオイルを抜かずにケースカバーをひらく準備をします。
ジャッキポイントはメインフレームとタンデムステップのサブフレームの付け根にしました。
サイドスタンド作用点として傾けます。ジャッキアップは後輪が握りこぶし1個分くらい浮けば十分です。傾けるのでメンテナンススタンドではだめです。
Z1・Z2クラッチ取り外し
ケースカバーのボルトM6×8本緩めて取り外します。
取り外したケースカバーはケースにくっついているのでゴムハンマー、無反動ナイロンハンマーなどでキズがつきにくいハンマーで軽く叩いて剥がします。
ナイロン無反動ハンマーは相手にキズつけたくないけど、しっかりと叩きたい時に重宝するハンマーです。
アクスルシャフトを挿入するときや、トップブリッジを取り外す時など非常に使い勝手がいいです。持っていない方はあると便利なのでこの機会にぜひ♪
おすすめはPBのナイロン無反動ハンマーです。3500円程度しますが、ずーっと使えます。写真のPBハンマーは10年以上ずーっと使っていますがいまだに現役です。
マイナスドライバーなどでカバーとケースの間をたたかないようにしましょう。合わせ面にキズが入ってオイル漏れの原因になります。
外れました。外してびっくりです。ガスケットがついていなくて液ガスのみでひっついていました。
40年前のバイクなのに驚きです。
最近のバイクでは部品の加工精度が向上したため液体ガスケットのみで固定されていることも多いですが、さすがに40年前のバイクなので標準ではガスケットが必要です。 続いて、クラッチボルト5本緩めてスプリングを取り出します。
外れました。
クラッチ板も外れるので取り外して、張り付いていないかチェックします。
Z1・Z2クラッチプレート点検、調整
ガッツリ張り付いていました。手でていねいにはがします。
わりと簡単に手で剥がれました。
すべてクラッチが取れるとケースはこのような状態です。
ひどい汚れやサビもなくきれいな状態でした。
これから組んでいきますが、その前にハウジングにたまったクラッチ板のダストなどキレイにしましょう。
なかなかクラッチを開ける機会も少ないと思います。
フリクションプレートが微妙にサビていたので、サビ取りを含めてオイルストーンを当ててキレイにします。
クラッチフリクションプレートって結構高価ですよね。ミニバイクレースやってた時(まだやめてないので現役です)バイクのパワーを上げるとクラッチの消耗も激しかったのでクラッチが滑ることが良くありました。
練習用のエンジンにクラッチ新品は勿体ないのでそういう時はフリクションプレートをオイルストーンをあてて組みなおすと一時的に滑りがなくなりました。
ということで、個人的な経験もあるのでオイルストーンを当ててキレイにします。
あまりキレイにする必要はなくこの程度で十分です。
すべてのフリクションプレートにオイルストーンを当てたら組んでいきます。
組む時はクラッチプレート、フリクションプレートともに4サイクルオイルをたっぷりと塗って組みます。
この時私はよくオイルの代わりに添加剤を塗ります。エンジンを組む時も組付けオイル代わりに添加剤で代用します。
オイルに混ぜて使うよりも直接塗った方がより高い効果が発揮すると思うので。
Z1クラッチカバー取り付け
フリクションプレート→クラッチプレートと交互に元通り組んでいきます。そしてハウジングを組んで、スプリングを入れてボルトを締めます。
組み終わったらカバーを閉じる準備をします。
まずは古いガスケットを剥がします。 使う道具はスクレーパーです。
スクレーパーは先端の刃が交換できるタイプがおすすめです。
刃がダメになっても研ぐ必要がなく、交換してすぐに使えます。
交換用の替刃も安いです。
定規でシールを剥がす感覚でガスケットのカスを剥がしていきます。 初めてカバーを開けるときなど古いガスケットが固着していることがあります。
そういう時は、ガスケットリムーバーがおすすめです。
ひと吹きしてしばらくおくとガンコなガスケットもかなりふやけています。
ガスケット剥がしの他に剥離剤にもなります。
ただし、超強力なので取り扱い注意です。手についたらすぐに手洗いしましょう。
ガスケットが剥がれたら、オイルストーンを合わせ面に当てて面を出します。
この時、オイルストーンに油を塗ります。油はエンジンオイルでもなんでもいいです。私はよくCRCをオイルストーンにスプレーして磨いています。
カバーも同じようにしっかりと掃除して合わせて面をキレイにします。
合わせ面をしっかりと脱脂します。
ケースカバーにガスケットを塗布します。
エンジン部品に液体ガスケットを使用するときは、バスコークではなく組み立て用の液体ガスケットを使っています。
組んでから漏れが見つかった場合、やり直しが面倒なので・・・ バスコークでも漏れたことはありませんが、念のため。
カバーにも液体ガスケットを組みます。
最後にガスケットを挟んでカバーを取り付けます。
冒頭で述べたようになぜかこいつには紙のガスケットがなく液体ガスケットのみで固定されていたので、同じように液体ガスケットで固定します。
これで漏れなければガスケット代が節約です。 通常、紙のガスケットは必要です。空冷Zエンジンも部品が出ているのでガスケットを入れて組みましょう。
日本では車検の時にオイル漏れが見つかると車検落ちになります。
最後にカバーを締めます。ねじは対角に少しずつ均等に締めていきましょう。
締め付けトルクは10N・mで問題ないです。マニュアルで指定トルクを調べましたが記載されていませんでした。
以上で完了です。最後にクラッチが切れているか、エンジンをかける前に1速にギアを入れてクラッチを切って前に押してみましょう。
クラッチがつながってなかったら成功です。 エンジンをかけて、1速に入れてエンストしないかチェックです。
以上で完了になります。
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