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リフターホルダ不要!カワサキ Z1・Z2・KZのタペット・シム調整を解説。

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バルブシムアイキャッチ カワサキ空冷Z
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カワサキの名車空冷Zシリーズのシム調整について解説します。

Z1,Z2、KZ、Z1000Jシリーズについても作業内容は基本的に同じです。

Z系のシム調整はモンキーのようなボルト、ナットでロッカーアームの隙間を調整するタペット調整は違い、シム(均一の幅を持った薄い板で2mmから3.2mmまで0.05mm単位で厚みの種類があります)で調整するため、測定が間違っていない限り誰でも適正なクリアランスが再現できます。

ただし、シムの厚みが0.05mm単位なので細かいは調整出来ません。

シムを交換する際に、「バルブリフターホルダー」という特殊工具が必要になります。

2020年5月26日現在、Amazonで7,247円、楽天で9,900円。正直、高すぎですね。

使用頻度の低い工具にそんな値段はもったいないし・・・シムなんて一度決まると当分、変える必要がないし(サービスマニュアルでは5000kmに一回の点検が推奨されています)で安い工具はないものかと探していたらアメリカのAmazon.comでバルブリフターホルダーと同じ役割をする特殊工具を発見し、即購入しました。

これと同等のものです。

お値段も10ドル程度で純正工具の1/6程度。バルブシムツールの使い方を説明した日本語の記事がなかったため、この工具を使ったシム交換を解説します。

少しコツがいりますが慣れると、簡単にシム交換できました。

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バルブシムとカムのクリアランスを測定

まずは、現状のシムのクリアランスを測定します。

シムのクリアランスとは、カムとバルブリフターのシムの隙間です。 シックスネスゲージで測定します。

シムのクリアランス測定はエンジンが冷えている時に行いましょう。

・コックをOFFにしてタンクを外します。

・4気筒すべてのプラグキャップを抜きます。

ヘッドカバーを取り外します。

ヘッドカバーのボルト16本緩めてヘッドカバーを持ち上げて取り出します。
(10mmボルトです。)

コンタクトブレーカーのカバー

コンタクトブレーカーのカバーも取り外します。
(DOHCの刻印があるカバーです)

17mmのメガネ(スパナ)でクランクを回してカムを回転させます。

クリアランス測定のやり方はいろいろあり、Z1とKZでもサービスマニュアルの方法が違っていたりします。

Z1の場合:カムの頂点を上に向けて、隙間を測定。

KZ1000の場合:クランクを回転させて圧縮上死点を出して(カムスプロケットのアイ        マークを合わせて)隙間を測定。

いろいろな方法がありややこしく感じますがやり方は非常に簡単です。

カムの山の頂点を9時から12時の間のいづれかの位置に移動して、カムとシムの隙間をシックスネスゲージ測る。

9時の位置

9時の位置です。

12時の位置

12時の位置です。

カムとタペットの隙間を測定するので、カムの山がシムと干渉しない位置に持ってくればオッケーです。

それが9時と12時の位置です。

ちなみに、またがって左手から1番シリンダー、その次が2番シリンダーです。

1番、2番シリンダーはバイクの左手からカムに向かって9時から12時。 3番、4番シリンダーはバイクの右手からカムに向かって9時から12時です。

シックスネスゲージでの隙間の測定は、薄いゲージから通して、隙間に入らなくなったゲージの値の前の値が隙間です。

例えば、0.100mmが入って0.110mmが入らなかった場合、隙間は0.100~0.109mmの間で0.100です。 1番から4番の吸気、排気 計8か所の隙間をクランクを回しながらそれぞれ測定しメモします。

クリアランス(隙間)の適正値

              Z-1 Z2 Z1000 KZ1000 0.05~0.1 mm

              Z1000J 0.05~0.15mm

バルブシムツール(激安工具)でのシム交換を解説

バルブシムツール

Amazon.comで購入したこの特殊工具。日本では誰も使っていなさそうですが、海外では結構使っているみたいです。YouTubeにも動画が投稿されていました。

いざ購入して制作会社のホームページで使用方法を確認しましたが、簡単すぎる絵と最低限の説明で全然分からなかったので使用方法解説します。

バルブシムツール2

工具については、ボールの柄がついているものをドライバー、薄い板状の工具をタペットホルダーと呼ぶことしにします。

タペットホルダーは、幅が5.5mmと7mm2つあります。Z1のエンジンでは幅が狭い5.5mmを使用します。

使用した工具

使用工具
・17mmのメガネ
・バルブシムツール
・マイナスドライバー
・プライヤー
・ライト
・マグネット(写っていません)

バルブ切りかけ

まずは、切り欠きを手前に向けます。この作業が重要です。

あとで解説しますがこの工具でシム交換を行う場合、タペットホルダーとシムが重なり工具が抜けにくいことあります。その時に、マイナスドライバーで軽くこじると外れます。

シム交換2

17mmのメガネでクランクを回し、カムがシム(バルブ)を押しているところまで回転させドライバーを入れます。

この時、ドライバーをシムとカムの間ではなく、カムの軸とシムの間に入れます。 次の写真参照。

シム交換3

そのまま、クランクを回転させ、カムの山が12時の位置まで移動させます。 この時、ドライバーでバルブを抑えています。

シム交換4

いきなり吸気側になっています。

ドライバーはバールのような構造になっているので、下に押してテコの原理でカムとシムの隙間を無理やり広げます。 そこにタペットホルダーを挿入します。この時、使用するのは幅が狭い5.5mmの方です。

シム交換5

タペットホルダーをセットする場所は必ず黄色の枠内のように、バルブリフターの端のフチを狙います。ここが一番難しいというかコツが要ります。

うまいこと狙わないとシムがタペットホルダーに引っ掛かり、取れませんし無理やり取ってしまうと入りません。マイナスドライバーを切り欠き入れて軽くこじってみます。軽い力でシムが動けば大丈夫です。 動かない場合は、もう一度、タペットホルダーの位置をやり直してください。

シム交換6

上から見るとこのような配置になります。 タペットホルダーが入るとドライバー抜けるので取り出します。

シム交換7

マグネットでシムを抜き取ります。マグネットで取れない場合は切り欠きにマイナスドライバーを入れて軽くこじります。

シム交換8

外れました。

外れたシムの厚みを確認します。

シム交換9

厚みを測定する前に取り外したシムに厚みが印字されているか確認します。

シムも摩耗し均一に摩耗すればよいのですが、カムが接触するところは摩耗が多いため測定誤差を避けるために印字を確認し消えてなければその値を採用します。

消えていれば、マイクロゲージで測定します。真ん中と端で値が違うと思います。
私は摩耗が少ないであろう端の値を採用しました。

クリアランス(隙間)が狭い時(隙間が0.05mm以下の時)シムを薄くします。

隙間が0.03でシムが2.80mmの場合→2.75のシムを入れクリアランス0.08を狙います。

クリアランス(隙間)が広い時(隙間が0.01mm以上の時)シムを厚くします。

隙間が0.13でシムが2.80mmの場合→2.85のシムを入れクリアランス0.08を狙います。

クリアランスについて

出来るだけ排気側は0.1mm付近を狙います。理由は、吸気よりも排気の方が温度上昇しやすく熱膨張が起こるためです。

もし、隙間測定時にまったく隙間がなかった場合は、今ついているシムよりも適当に0.2mm薄いシムを入れて再測定します。

シムが決まれば逆の手順で組んでいきます。

最後に何回かクランキングさせてなじませた後に、測定しクリアランスが正しいか確認します。 クリアランスが規定値内なら作業完了です。

シム交換10

念のためオイルストーンで取り付け面をならします。

カバーを取り付けますが、本来であればガスケットは新品にするべきです。

でも、使えるガスケットをわざわざ剥がして捨てるのはもったいないですよね?? ということで再利用です。

液体ガスケットはこれを使います。

バスコーク。 日本から持ってきました。安価で蓋をして保存できるので大変便利です。

注:バスコークしてもオイルが漏れた場合は、潔く新品のガスケットに交換します。

ヘッドカバーを閉めて元に戻します。

カバーのボルトを締めます。締めるときは、一か所をいっきに閉めずに、すこしづつ均等に閉めていきます。

最後に

激安工具でも交換作業出来ました。

コツさえつかめば特に難しいことはありませんでした。 シム交換は頻繁に作業しないので、純正品ではなくこの工具で交換するのもいいと思います。

節約できたお金でオイルが買えます♪

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